キッチーkobayasiの本当に大事じゃない話

ひょんな事から飲食の世界に飛び込み、今も料理人を続けています。

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昨今の将棋界の事 それと相撲について

      2017/07/22

どうもキッチーです。

久々に1件だけ記事を書きます。
と言っても、もう様々なメディアで取り上げられていて、誰もが知っている事だと思うので、正直今更私が何か書こうか迷いましたが、一応形として残しておきます。
それはタイトル通り、今年に入ってからブームになっている将棋界の事です。

昨年、史上最年少プロ棋士が誕生しました。皆さんもうご存知の藤井聡太四段です。それまでプロデビュー最年少記録を持っていたのは、当時(2016年)将棋界最年長だった加藤一二三九段でした。
そして藤井四段のデビュー戦の相手がその加藤九段でした。去年の12月24日、クリスマスイブの日です。そしてこれは余談ですが、果たして神様のお導きか、加藤九段はクリスチャンであります。
対局は加藤九段が今迄一番多く指してきた、自分の得意とする『矢倉』という戦法を執ります。それに敢えて付き合う藤井四段。『勉強させて頂きます』と言わんばかりの指し手に思えます。
普通でしたら大ベテランの加藤九段が勝つのでしょうが、そこは天才藤井四段、対局終盤に一度チラッと加藤九段を見上げると、それはまるで『僕の勝ちですよ』と伝えている様に見えました。史上最年少の勝利。藤井四段の連勝記録はここから始まります。
歴代最多29連勝。ですが勿論その全てが順調だった訳ではありません。
第20戦目。澤田六段戦。藤井四段はミスを連発。相当追い詰められます。普通に考えれば勝ち目のない局面。あと一手で負けが決まる場面で、藤井四段は一か八かの大勝負に出ます。
たった一つ残された逆転の一手。相手の王将に王手を連発し、狙いの位置まで誘い出してからの桂馬での王手。相手の王が逃げれば相手の勝ち。逆に相手が自分の金でその王手をかけた桂馬を取れば、十手以上先に藤井四段の逆転勝ちが待ってます。正に勝率2分の1の大博打。
この時相手の澤田六段は、自分の持ち時間を使い切り、一手1分で指さなければならない状況でした。とても先の先まで読み切れる状況ではありません。
結果は皆さまご存知の通り、藤井四段が逆転勝ちをしました。
他にも面白い対局はいくつかありました。
例えば、新記録達成がかかったデビュー29戦目の相手が、去年の新人王で現在プロの将棋界に2人しかいない10代の棋士。東の天才と称される関東将棋連盟所属の桝田四段戦。(藤井四段は関西将棋連盟所属です)
また『自分達の世代が藤井棋士の勢いを止めなくてはならない』と、相当藤井四段を研究し、そして圧倒した、まだ22歳の佐々木六段戦。
など、将棋のルールも余り分からない私ですが、その人間ドラマには魅了されてしまいます。

さて人間ドラマで言えばもう一人。神武以来の天才と称された、加藤一二三九段についてです。
将棋には順位戦というものがあります。これは将棋界最高峰の称号、名人位を獲得する為のリーグ戦と言えます。
トップには名人が立ち、その下にA級10名、そしてB級1組・2組、C級1組・2組と、5段階にクラスが分れています。そして棋戦によって、各クラスの上位と下位が入れ替わります。
加藤九段は過去この名人位にも立たれ、将棋の名人と言えば加藤名人という程その名を馳せました。ですが現在の所属はC級2組の下位の方です。C級2組から落ちるという事は、プロではなくなる事を意味しています。
そして今年、石田四段に負けた加藤九段はこの順位戦から外れる事がほぼ確定しました(他の棋士の戦績にも依りますが)。
しかし一縷の望みも残ります。
将棋の7大タイトルの内どれか一つでも取っていれば、タイトル保持者として、予選を勝ち抜いた相手と公式戦で相見える事が出来ます。もっとも実現の可能性は限りなく低いですが。
さて名人位の順位戦に敗れた加藤九段、参戦できるタイトル戦は棋聖戦と棋王戦と王将戦の残り3つ。順位戦で石田四段に敗れた次の対戦は、棋聖戦の予選で、格上(B級1組)の飯島七段との一局でした。
ここで大ベテラン加藤九段が観衆を驚かせます。それまでにない、意表を突く戦法で来たからです。戸惑う飯島七段。結局この対局は加藤九段の貫禄勝ちでした。藤井四段とは逆に、史上最高齢での勝利です。現役続行への望みを繋げます。
そして加藤九段の公式戦2501局目、棋聖戦2回戦の相手は、現在将棋界の最高位佐藤天彦名人でした。流石に相手が悪すぎました。
このタイトル戦の予選で負けた加藤九段は残りのタイトル戦での予選でも負け、本当の現役引退が確定しました。
お疲れさまでした。

昨今の将棋界。面白い事に相手が人間だけとは限りません。人工知能を積んだコンピューターの将棋ソフトとプロ棋士が対局する『電王戦』なるものがあります。
この電王戦、残念な事にこれまで人間のプロ棋士が次々とコンピューターソフトに負けていきました。
そこで今年行われたのが、将棋界最高峰のタイトル保持者佐藤天彦名人とコンピューターソフト最強のポナンザとの一戦です。
佐藤名人は昨年羽生三冠を破り14年振りの新名人としてその座に就いた、まだ29歳の天才です。将棋界全ての威信が佐藤名人の双肩に掛ります。
名人とポナンザの電王戦は2番勝負。
第一局目は4月に日光東照宮で行われました。
ポナンザの先番。第一手目は過去10年間、公式戦で指された事の無い意外な手で始まりました。
動揺を隠せない名人。初手から頭を抱えます。しかし手が進む毎にポナンザの狙いが明らかになってきました。
10手目、ポナンザは『中住まい』という強固な守りを完成させていました。
中盤、佐藤名人は一つ罠を張ります。8手先までの読み。自分の思い通り相手の駒が進めば自分の勝ちという局面。しかしポナンザはそれには乗ってきませんでした。逆に名人に誘いを掛けます。僅か4手で名人の目論見は崩されてしまいました。
結局この場面でのやり取りが決め手となり、勝負はポナンザの圧勝でした。
第二局目は5月、姫路城で行われました。
今度は佐藤名人の先番。しかしここでも受けて立つポナンザが初手から意外な動きをします。ですが佐藤名人にもう迷いはありません。飽くまでも自分の攻めを貫き通します。
進む盤面。中盤に差し掛かりポナンザやや優勢。終盤になると、どういう訳かポナンザが圧倒していました。
名人の95手目。何度も席を外し長考に入る名人。係りの人からここまでの棋譜を受け取り、自分の指し手にミスは無かった事を確認します。そして、もう一度席を外す名人。あの一言を発する決心がつきません。この時の名人の心情は、我々には想像もつかないものでしょう。
戻ってきた名人は、お茶を一杯口に運ぶと、一言「負けました」と頭を下げました。
後にこの一戦を振り返り、佐藤名人は席を外した事に対して、
「ポナンザはかなり人間よりも将棋の神様に近い側にいるんじゃないか。これで自分が背負っていた人類のコンピューター将棋に対する戦いが一区切り付く。それを自分の手で終わらせる事に対する気持ちの整理をつけていた」
と語っています。
人間とコンピューターの間には、最早埋まり様の無い差が開き、電王戦はこれで最後となりました。
最後の最後に名人の矜持と言うものを見れて、寂しい思いと共に、何だか感動も致しました。

話は変わって、相撲について。
一昨日大相撲の世界でも面白い事がありました。
この日は、観客席にあの将棋界の藤井四段も観戦に来ていました。
さて取り組みも進み、結びでは横綱白鵬関に二十歳の新鋭、横綱初挑戦の高景勝関がぶつかりました。
立ち合い激しく突き合う両者。しかし共に一歩も引かず土俵の中央から動きません。一旦両者の体が離れると睨み合いになります。攻められない若武者。ここで白鵬が意外な行動にでます。
それまで頭を下げ前傾姿勢だったところを、スッと身体を起こし、両手を広げ、「さぁ、かかってこい!!」と言わんばかりの態勢になりました。
そこで意を決した高景勝は思い切って横綱の胸に突っ込んで行きます。ほんの少し押し込めたかと思った瞬間、横綱にまわしを引かれた高景勝は、そのままズルズルと土俵の反対側まで押し込まれ、軽々と寄り切られてしまいました。
一連の流れは、まるで横綱が若手に稽古をつけている様相で、白鵬の余裕が感じられました。
高景勝にとっては、屈辱以外の何物でもないでしょう。しかしこの敗戦を糧に、より稽古をし、更なる高みを目指していって貰いたいです。

キッチーより

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